錦糸町マルイ教室
柳 秀三 さん
2997 携帯電話がない
2023年02月12日 22:05

原尞という寡作の作家がいる。
ジャズピアニストであるが、佐賀に帰郷してから執筆を開始、1988年(昭和63年)、『そして夜は甦る』で作家デビューした。
●そして夜は甦る 1988年早川書房 長編
●私が殺した少女 1989年早川書房 長編
●天使たちの探偵 1990年早川書房 短編集
●さらば長き眠り 1995年早川書房 長編
●ミステリオーソ 1995年早川書房 エッセイ集
●愚か者死すべし 2004年早川書房 長編
●それまでの明日 2018年早川書房 長編
レイモンド・チャンドラーの著した探偵フィリップ・マーロウものに深く傾倒しており、彼の作品はそのオマージュとなっている。
俺は本屋さんで『そして夜は甦る』(1990年発行の11版)を見つけた。
買って読んで、好きになった。
長・短編すべてが、探偵沢崎を主人公とするハードボイルドである。
作家本人が、たぶんエッセイのなかでだと思うが、書いている。
「ハードボイルドとは、文体である」と。
そして俺は、その文体に魅せられたひとりとなった。
“ミステリ” に分類されるのだろうけれど、なぞ解きを楽しんでいるわけではない。
これは、俺が初めて買った小説『八つ墓村』で、横溝正史の探偵金田一耕助ものに耽溺して以来の傾向なのだが、作家の “語り” が好きなのである。
この “語り” が好きな作家は他にもいる。
筒井康隆、半村良、アイザック・アシモフ、栗本薫、藤沢周平…。
逆に “語り” が下手だけれど、その世界観・描写が大好きなのは谷甲州である。
作家にそれぞれの “語り” があり、原尞の “語り” はハードボイルドである。
原尞は、レイモンド・チャンドラーやダシール・ハメットを読んで『そして夜は甦る』を著したが、俺は原尞を読んだせいでチャンドラーを読んでみたがハマれず、マイクル・コナリー、サム・リーヴスを見つけた。
これら、原尞、マイクル・コナリーをまた読んでみたいのだが、その物語には、携帯電話が出て来ないのである。
現代劇なのに、現実の変化のスピードが早すぎて時代遅れになってしまっている。
そうなると、時代小説やSFに逃げ込んでしまう。
柳 秀三
ジャズピアニストであるが、佐賀に帰郷してから執筆を開始、1988年(昭和63年)、『そして夜は甦る』で作家デビューした。
●そして夜は甦る 1988年早川書房 長編
●私が殺した少女 1989年早川書房 長編
●天使たちの探偵 1990年早川書房 短編集
●さらば長き眠り 1995年早川書房 長編
●ミステリオーソ 1995年早川書房 エッセイ集
●愚か者死すべし 2004年早川書房 長編
●それまでの明日 2018年早川書房 長編
レイモンド・チャンドラーの著した探偵フィリップ・マーロウものに深く傾倒しており、彼の作品はそのオマージュとなっている。
俺は本屋さんで『そして夜は甦る』(1990年発行の11版)を見つけた。
買って読んで、好きになった。
長・短編すべてが、探偵沢崎を主人公とするハードボイルドである。
作家本人が、たぶんエッセイのなかでだと思うが、書いている。
「ハードボイルドとは、文体である」と。
そして俺は、その文体に魅せられたひとりとなった。
“ミステリ” に分類されるのだろうけれど、なぞ解きを楽しんでいるわけではない。
これは、俺が初めて買った小説『八つ墓村』で、横溝正史の探偵金田一耕助ものに耽溺して以来の傾向なのだが、作家の “語り” が好きなのである。
この “語り” が好きな作家は他にもいる。
筒井康隆、半村良、アイザック・アシモフ、栗本薫、藤沢周平…。
逆に “語り” が下手だけれど、その世界観・描写が大好きなのは谷甲州である。
作家にそれぞれの “語り” があり、原尞の “語り” はハードボイルドである。
原尞は、レイモンド・チャンドラーやダシール・ハメットを読んで『そして夜は甦る』を著したが、俺は原尞を読んだせいでチャンドラーを読んでみたがハマれず、マイクル・コナリー、サム・リーヴスを見つけた。
これら、原尞、マイクル・コナリーをまた読んでみたいのだが、その物語には、携帯電話が出て来ないのである。
現代劇なのに、現実の変化のスピードが早すぎて時代遅れになってしまっている。
そうなると、時代小説やSFに逃げ込んでしまう。
柳 秀三
コメントがありません。
コメント
0 件