錦糸町マルイ教室
柳 秀三 さん
1594 あとは知らない
2020年08月10日 10:58


いまから20年位前、俺は都内でタクシードライバーをしていた。
空車で新宿を走っていると、ホテル(匿名)で、ドアマンが手招きをしていた。
俺はドアマンの後をついて、車両を車寄せに着けた。
待っていたのは、高齢の女性を含んだ4人のファミリー客であった。
ドアマンがいるわけだし、大きな荷物も無い。
俺は車両を降りずに、右手で運転席右側下部にあるレバーを操作して、後部ドアを開けて、閉まらないように押さえる。
後部席には高齢女性がまず乗るらしい。
「こんにちは」
俺が後ろ向きに半身になってあいさつをすると、女性もこんにちはと言う。
ドアマンが助手席のドアを開けた。
若い男性が助手席に乗り込んだ。
「こんにちは」
ドアマンが助手席のドアを閉めた。
その刹那・・・
「痛い、痛い、痛い!」
女性が悲鳴を上げた。
タクシー車両は、当時のタクシー専用のトヨタ・クラウンコンフォート。
セダンなので、センターピラーがあり、女性は乗り込むためにこのセンターピラーを左手でつかんでいた。
センターピラーは、本来手でつかむ場所ではない。
しかしながら、高齢女性は体幹が弱くなっていて、車に乗り込むのに、つかまらずにはいられなかったのだろう。
そのつかんだ手指を、ドアマンが助手席のドアを閉めて挟んでしまった。
俺も気付かなかった。
気付いても、そんなことが起きると気付けなかった。
タクシードライバーは、利用客の体や荷物が全部車内に入ったかどうか目視確認してから、レバーを操作して後部ドアを閉める。
足が車外にまだあるのに、乗り込んだと思って急いでドアを閉めて挟んでしまうこともあるので、目視確認と閉める際の「閉めまーす」の声かけは大事である。
ドアマンは後部席に乗るお客様が安全に乗り終えるのを、まずは、確認するべきである。
それから、助手席に乗るお客様がいるのなら、助手席のドアサービスをするべきである。
その順番が妥当であるし、当然である。
結局、そのお客様たちは乗ることなく降りた。
俺は空車のままホテルからタクシーを出した。
むろん、あとは知らない。
柳 秀三
空車で新宿を走っていると、ホテル(匿名)で、ドアマンが手招きをしていた。
俺はドアマンの後をついて、車両を車寄せに着けた。
待っていたのは、高齢の女性を含んだ4人のファミリー客であった。
ドアマンがいるわけだし、大きな荷物も無い。
俺は車両を降りずに、右手で運転席右側下部にあるレバーを操作して、後部ドアを開けて、閉まらないように押さえる。
後部席には高齢女性がまず乗るらしい。
「こんにちは」
俺が後ろ向きに半身になってあいさつをすると、女性もこんにちはと言う。
ドアマンが助手席のドアを開けた。
若い男性が助手席に乗り込んだ。
「こんにちは」
ドアマンが助手席のドアを閉めた。
その刹那・・・
「痛い、痛い、痛い!」
女性が悲鳴を上げた。
タクシー車両は、当時のタクシー専用のトヨタ・クラウンコンフォート。
セダンなので、センターピラーがあり、女性は乗り込むためにこのセンターピラーを左手でつかんでいた。
センターピラーは、本来手でつかむ場所ではない。
しかしながら、高齢女性は体幹が弱くなっていて、車に乗り込むのに、つかまらずにはいられなかったのだろう。
そのつかんだ手指を、ドアマンが助手席のドアを閉めて挟んでしまった。
俺も気付かなかった。
気付いても、そんなことが起きると気付けなかった。
タクシードライバーは、利用客の体や荷物が全部車内に入ったかどうか目視確認してから、レバーを操作して後部ドアを閉める。
足が車外にまだあるのに、乗り込んだと思って急いでドアを閉めて挟んでしまうこともあるので、目視確認と閉める際の「閉めまーす」の声かけは大事である。
ドアマンは後部席に乗るお客様が安全に乗り終えるのを、まずは、確認するべきである。
それから、助手席に乗るお客様がいるのなら、助手席のドアサービスをするべきである。
その順番が妥当であるし、当然である。
結局、そのお客様たちは乗ることなく降りた。
俺は空車のままホテルからタクシーを出した。
むろん、あとは知らない。
柳 秀三
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