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カキっ放し!!

 錦糸町マルイ教室  柳 秀三 さん

0857 高浜五郎⑦

 2019年05月26日 02:05
 高浜五郎は関内運送の社員であり、関内運送は工場の子会社ではない。工場長に五郎の去就の決定権は無い、五郎も自ら申し出て会社を辞めるつもりもない。では、会社の誰が、俺にクビを告げるんだろう、社長か、藤木か、六田か、五郎は楽しみにしていた。

 そんなとき、五郎が「千葉県リハビリテーションセンター」に通っている頃に夫を亡くして一人ぼっちになってしまっていた五郎の伯母が、病院に入院してしまった。

 四か月間、気を張ってひとりで夫の相続をやっていたのだが、心が折れたのだろう、脚が痛いと、自分で救急車を呼んだ。

 五郎は車を運転できないので電車で毎日伯母のもとへ行った。退院しても自宅には戻りたくないという伯母のために老人ホームを探し、手配していた。そして、老人ホームで伯母の入所の申し込みが完了したその時に、元の配車係、事実上の責任者の藤木から電話があった。

『聞いただろ工場長のこと。悪いな、他を探してくれないか』

『わかりました』

 五郎が入社する前年に関内運送の創業の社長が亡くなった。そして、その社長が亡くなる数年前に、将来を嘱望されていた二代目になるはずの息子も亡くなっていた。

 社長職を継いだ娘は現場の業務に無関心だった。何もせず、社長という地位にいただけだった。業務は藤木に任せっぱなしだが、でも金を出すときだけは嘴を突っ込んできた。

 藤木は寡黙な男だった。荷主の末端であるたった一工場長の言いなりになって社員を守れず、面と向かってクビを言えずに電話で言い渡す、そんな社長と責任者と、もう付き合いたくないし、そんな会社に汲々とする男と思われるのも嫌だった。

 まったく抵抗しなかったのは、ドタバタしているので正式な退社を少しでも遅らせたいので譲歩でもあった。もとはと言えば自分自身の健康への管理不足から起きたことなのだから、腹をくくるべきだと五郎は思った。

柳 秀三
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