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カキっ放し!!

 錦糸町マルイ教室  柳 秀三 さん

0851 高浜五郎①

 2019年05月25日 23:52
 2014年9月16日午前6時、関内運送のドライバー高浜五郎は、八千代市の工場「アカギ建材」の門扉の前の工場敷地にトレーラーを停めて運転席に座り、8時の開門を待っていた。降雨の可能性は無さそうなので、着いてすぐに、外掛けシートも内掛けも剥がしてしまった。シートは畳んで丸めてトラクター(トレーラーヘッド)の踊り場に格納してある。

 五郎のトレーラーの右隣りには、五郎よりも先に着けた合同陸運の宮川のトレーラーが、工場建屋に寄せて停まっていて、やはりシートが剥がしてある。荷台には直径が1m50以上あるメッキのスリットコイルが12本、ワイヤロープとチェーンブロックで固縛されていて、荷の総重量は30tになる。宮川本人はハンドルに足をあげて運転席の背もたれを倒して、キャビンの後部ベッドとの仕切りのカーテンを閉めて日除けにして寝ている。

 五郎はマイク付きのブルートゥースイヤホンを耳にかけ、同じ会社の同僚ドライバーの鈴井たちと電話でつながっていた。全員がソフトバンクの携帯電話を持ち、ホワイトプランでグループ通話をしているのだ。眠気覚ましと暇つぶしのために、いつも走行中は会社のドライバー同士で話しながら運転している。

 配達先はそれぞれに違い、まだ配達先の工場に向かって走行中の者もいれば、現着してシートを剥がしている最中の者もいて、その息遣いが聞こえたりする。

 五郎は急になぜか気分が悪くなっていることに気付いた。何も思い当たることは無い。吐きそうというのではなく、気分が悪いのだ、自分が変なのだ。

 ついに来たか、と思った。

 半年前に、指と唇にしびれを覚え、病院に行きMRI検査を受け、「ラクナ梗塞」と診断された。「ラクナ梗塞」は細い脳血管の詰まりで、脳梗塞の一種である。女性医師はあなたの年齢では起きても不思議はなく小さいので大事は無いと言い、血がサラサラになる薬が処方され、以来その薬と血圧降下剤を飲んでいて、症状は治まっていた。しかし、五郎は脳梗塞になりやすい体質なのだ。

 不安を抑えるため、座席を倒し、煙草に火をつけ、煙を深く吸い込んだが、気分は良くならない。

 尋常じゃない、体験したことのないこの感覚。

『鈴井さん、俺、ちょっとヤバい、救急車呼ぶ、切るよ』

柳 秀三 
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