錦糸町マルイ教室
柳 秀三 さん
0327 頑張りすぎるなよ
2018年09月01日 14:32
先日、老人ホームに入居した伯母の話をアップしたが、10年前、その伯母が脳出血で救急搬送されたことがあった。
伯父とふたりで出かける途中、駅で倒れたのだ。
伯父はその時もうすでに認知症を患っていた。
受け答えはまともだから、救急隊員も病院もそれと気づかない。
たぶん伯父はタクシーで病院から家に帰ってきたのだろう。
しかし、なんで伯母が家にいないのかわからない。
翌日、わが家に電話してきた。
俺が消防署に教えてもらい、当該病院に行った。
伯母が入院している間、伯母よりも伯父の面倒をどう診るかが最大の問題である。
結局、俺が仕事終わりに、車で高速を使って一時間の伯父の家に、様子を見に行くことにした。
伯父は偏食気味で、毎日吉野家で牛丼を買っていった。
行くと早々に「お、秀三か、よく来たな、でも、〇〇子がいないんだ、どうしたんだろう」と伯母がいないことを心配そうに訴える。
「おじちゃん、おばちゃんは脳出血で救急搬送されて病院に入院してるよ」
「え、そうなのか、それで〇〇子は大丈夫なのか」
「うん、そのうち退院できるよ」
「そうかあ、なんかいないからな、どうしたんだろうと思っていたんだよ、入院したのかあ」
「うん、だから、おばちゃん退院するまで頑張ろうね、牛丼食べなよ」
「俺、頑張るよ、ところでなあ、〇〇子がいないんだよ、どうしたんだろう」
これがひたすら繰り返される。
そして、それは伯母が退院するまで一か月続いた。
あるとき携帯電話に十個上の従兄から電話がかかってきた。
「おじちゃんの面倒見てるんだってな、ありがとうな」
「夕方、ご飯持って話してくるだけだから」
現状を詳しく話すと、従兄は言った。
「頑張りすぎるなよ、お前がどうにかなったらダメだからな」
この言葉に救われた。
たった一言ではあるが、嬉しかった、ありがたかった。
それ以来、伯父に伯母の行方を聞かれたら、もうすぐ戻ってくるよと嘘をつくことにした。
伯母の入院という事実を知るたびに、伯父は心を痛める。
すぐ忘れるのだから、なにも事実を突きつける必要はない。
「よりそう」と言う言葉は良いが、一緒に倒れたらダメである。
柳 秀三
伯父とふたりで出かける途中、駅で倒れたのだ。
伯父はその時もうすでに認知症を患っていた。
受け答えはまともだから、救急隊員も病院もそれと気づかない。
たぶん伯父はタクシーで病院から家に帰ってきたのだろう。
しかし、なんで伯母が家にいないのかわからない。
翌日、わが家に電話してきた。
俺が消防署に教えてもらい、当該病院に行った。
伯母が入院している間、伯母よりも伯父の面倒をどう診るかが最大の問題である。
結局、俺が仕事終わりに、車で高速を使って一時間の伯父の家に、様子を見に行くことにした。
伯父は偏食気味で、毎日吉野家で牛丼を買っていった。
行くと早々に「お、秀三か、よく来たな、でも、〇〇子がいないんだ、どうしたんだろう」と伯母がいないことを心配そうに訴える。
「おじちゃん、おばちゃんは脳出血で救急搬送されて病院に入院してるよ」
「え、そうなのか、それで〇〇子は大丈夫なのか」
「うん、そのうち退院できるよ」
「そうかあ、なんかいないからな、どうしたんだろうと思っていたんだよ、入院したのかあ」
「うん、だから、おばちゃん退院するまで頑張ろうね、牛丼食べなよ」
「俺、頑張るよ、ところでなあ、〇〇子がいないんだよ、どうしたんだろう」
これがひたすら繰り返される。
そして、それは伯母が退院するまで一か月続いた。
あるとき携帯電話に十個上の従兄から電話がかかってきた。
「おじちゃんの面倒見てるんだってな、ありがとうな」
「夕方、ご飯持って話してくるだけだから」
現状を詳しく話すと、従兄は言った。
「頑張りすぎるなよ、お前がどうにかなったらダメだからな」
この言葉に救われた。
たった一言ではあるが、嬉しかった、ありがたかった。
それ以来、伯父に伯母の行方を聞かれたら、もうすぐ戻ってくるよと嘘をつくことにした。
伯母の入院という事実を知るたびに、伯父は心を痛める。
すぐ忘れるのだから、なにも事実を突きつける必要はない。
「よりそう」と言う言葉は良いが、一緒に倒れたらダメである。
柳 秀三
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