錦糸町マルイ教室
柳 秀三 さん
0293 昨夜の夢
2018年08月14日 08:39
俺は都内のタクシー会社でドライバーを職業としていたことがある。
これは夢である。
俺は夜の住宅街でタクシーを空車で走らせていた。
もちろん、夜であれ昼であれ、住宅街にお客さんはいない。
都内のタクシーは流し営業が基本である、人がいない道では仕事にならない。
たぶん、住宅街で客を降ろした帰りなのだろう。
ふと、角にある空き地から女性が出てきて手を挙げる。
明確に乗車の意思がある以上、素通りはできない。
それをやると「乗車拒否された」というクレームがセンターに行く恐れがある。
携帯電話で即刻、タクシー会社名からナンバーから実況中継されてしまう。
俺はほんの少し行き過ぎて停めた。
ぱっと見、女優の菜々緒みたいな背の高く髪の長い女性である。
薄手の白のヒラヒラしたワンピースを着ている。
住宅街の一角、以前は家があったであろう空き地にいまはもう膝ぐらいまで雑草が生い茂り、こんなところでこの女はいったい何をしていたんだろう。
女は手で空き地に沿って左に入れと合図する。
左に曲がってから、雑草だらけの空き地にタクシーを乗り入れる。
タクシーを降りた覚えが無いのに、今度はバスの運転席にいて住宅街をゆっくり走らせている。
そこだという合図で少し大きめの家の前でバスを停める。
誰が合図したのか後ろを振り返ると、三十代の長髪のチャラそうな男がすぐ後ろにいる。
バスも、普通の路線バスや観光バスを想像してはいけない。
ブリキのおもちゃみたいな、薄い鉄板でできた、右側に補助席のような粗末な座席が二列並び、左側は通路と窓だけという異様なバスである。
家から人が大勢出てきて、バスに乗り込んでくる。
俺の不安は、いったいどこに向かって走らせればいいのかわからないことにある。
いつの間にか地図を手にしていて、そこが「妹尾」だか「妹間」だか言う土地の、家がびっしりと建ち並ぶ住宅街であることがわかった。
「でも、どこ行きゃいい?」
ひとりごとのつもりだったが、後ろから手が伸びてきて、ロードマップのページを勝手にめくる。
「ここや」
漫画「なにわ金融道」に出てきそうなチリチリパーマにちっこい目の大阪のおばちゃんがニヤニヤしていた。
柳 秀三
これは夢である。
俺は夜の住宅街でタクシーを空車で走らせていた。
もちろん、夜であれ昼であれ、住宅街にお客さんはいない。
都内のタクシーは流し営業が基本である、人がいない道では仕事にならない。
たぶん、住宅街で客を降ろした帰りなのだろう。
ふと、角にある空き地から女性が出てきて手を挙げる。
明確に乗車の意思がある以上、素通りはできない。
それをやると「乗車拒否された」というクレームがセンターに行く恐れがある。
携帯電話で即刻、タクシー会社名からナンバーから実況中継されてしまう。
俺はほんの少し行き過ぎて停めた。
ぱっと見、女優の菜々緒みたいな背の高く髪の長い女性である。
薄手の白のヒラヒラしたワンピースを着ている。
住宅街の一角、以前は家があったであろう空き地にいまはもう膝ぐらいまで雑草が生い茂り、こんなところでこの女はいったい何をしていたんだろう。
女は手で空き地に沿って左に入れと合図する。
左に曲がってから、雑草だらけの空き地にタクシーを乗り入れる。
タクシーを降りた覚えが無いのに、今度はバスの運転席にいて住宅街をゆっくり走らせている。
そこだという合図で少し大きめの家の前でバスを停める。
誰が合図したのか後ろを振り返ると、三十代の長髪のチャラそうな男がすぐ後ろにいる。
バスも、普通の路線バスや観光バスを想像してはいけない。
ブリキのおもちゃみたいな、薄い鉄板でできた、右側に補助席のような粗末な座席が二列並び、左側は通路と窓だけという異様なバスである。
家から人が大勢出てきて、バスに乗り込んでくる。
俺の不安は、いったいどこに向かって走らせればいいのかわからないことにある。
いつの間にか地図を手にしていて、そこが「妹尾」だか「妹間」だか言う土地の、家がびっしりと建ち並ぶ住宅街であることがわかった。
「でも、どこ行きゃいい?」
ひとりごとのつもりだったが、後ろから手が伸びてきて、ロードマップのページを勝手にめくる。
「ここや」
漫画「なにわ金融道」に出てきそうなチリチリパーマにちっこい目の大阪のおばちゃんがニヤニヤしていた。
柳 秀三
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