錦糸町マルイ教室
柳 秀三 さん
0047 金田一耕助
2018年04月21日 15:00
石坂浩二がどもりながら長い髪のモジャモジャ頭を掻きまくった角川映画がヒットしたのは俺が中学生のころだ。
そのヒットを受けてTBSで『横溝正史シリーズ』なる連作のドラマが始まる。映画と同じく探偵金田一耕助を主人公とする推理小説が原作となっている。
どちらも興味はなかった。
なぜかそのときだけ『週間TVガイド』を買った。
『横溝正史シリーズ』が目的ではない。
ないが、記事の中に、これから始まるドラマ『横溝正史シリーズ』第3弾『三つ首塔』の特集があった。
この記事にはドラマのキャストやストーリーが紹介されていた。それを読んだ俺は、「こいつが犯人だな」と確信してしまった。
確信したので確認しなければならない。
だから、何話あったか覚えていないが、『三つ首塔』を最後まで観た。
果たして、当たっていた。俺は観る前に犯人を当てた。
だが、それよりもそんなことよりも、そのおどろおどろしい世界観に、古谷一行演じる金田一耕助に、俺は魅せられた。
その後も同シリーズを観続け、第二『横溝正史シリーズ』も観た。
中二の時のクラスメートにやけに本に詳しい三宅というやつがいて、こいつに『金田一耕助』の原作はいったいどこに売っているんだと聞いた。
「近所の本屋に売ってるよ」
三宅のうちの近くの本屋に連れて行ってもらった。
『原沢久遠堂』
ショックだった。そこは住宅街にある文房具店と兼業の小さな本屋だった。
俺は小説などというものはもっと特別なところに売っていると思っていた。東京に行かなければダメだろうと思っていた。TBSに手紙を書いて聞いてみようとさえ考えていた。
ところがその本屋は、中一の時にハマっていた漫画『サイボーグ009』を買っていた寂れた六実駅前の『みのり書店』となんら変わりのない、ただの本屋じゃないか!
こんなところに『金田一耕助』は売っているのか!
売っていた。角川文庫、横溝正史/著の金田一耕助物の文庫本が並んでいた。
氏の金田一耕助物は長・短編含めてたくさんあり、物語の時系列と出版社のシリーズナンバリングは異なっているが、そんなことは知らないので、一番端に並んでいる『八つ墓村』を購入した。
人生初の、小説本の購入だった。
つづく
柳 秀三
そのヒットを受けてTBSで『横溝正史シリーズ』なる連作のドラマが始まる。映画と同じく探偵金田一耕助を主人公とする推理小説が原作となっている。
どちらも興味はなかった。
なぜかそのときだけ『週間TVガイド』を買った。
『横溝正史シリーズ』が目的ではない。
ないが、記事の中に、これから始まるドラマ『横溝正史シリーズ』第3弾『三つ首塔』の特集があった。
この記事にはドラマのキャストやストーリーが紹介されていた。それを読んだ俺は、「こいつが犯人だな」と確信してしまった。
確信したので確認しなければならない。
だから、何話あったか覚えていないが、『三つ首塔』を最後まで観た。
果たして、当たっていた。俺は観る前に犯人を当てた。
だが、それよりもそんなことよりも、そのおどろおどろしい世界観に、古谷一行演じる金田一耕助に、俺は魅せられた。
その後も同シリーズを観続け、第二『横溝正史シリーズ』も観た。
中二の時のクラスメートにやけに本に詳しい三宅というやつがいて、こいつに『金田一耕助』の原作はいったいどこに売っているんだと聞いた。
「近所の本屋に売ってるよ」
三宅のうちの近くの本屋に連れて行ってもらった。
『原沢久遠堂』
ショックだった。そこは住宅街にある文房具店と兼業の小さな本屋だった。
俺は小説などというものはもっと特別なところに売っていると思っていた。東京に行かなければダメだろうと思っていた。TBSに手紙を書いて聞いてみようとさえ考えていた。
ところがその本屋は、中一の時にハマっていた漫画『サイボーグ009』を買っていた寂れた六実駅前の『みのり書店』となんら変わりのない、ただの本屋じゃないか!
こんなところに『金田一耕助』は売っているのか!
売っていた。角川文庫、横溝正史/著の金田一耕助物の文庫本が並んでいた。
氏の金田一耕助物は長・短編含めてたくさんあり、物語の時系列と出版社のシリーズナンバリングは異なっているが、そんなことは知らないので、一番端に並んでいる『八つ墓村』を購入した。
人生初の、小説本の購入だった。
つづく
柳 秀三
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